反対討論                  2006年3月2日

                                小黒啓子

第25号議案 浜松市国民保護協議会条例の制定について
第26号議案 浜松市国民保護対策本部及び浜松市緊急対処事態対策本部条例の制定について
反対の立場で討論します。
 
 今回提出されましたこの二つの条例制定は、いずれも2004年6月に制定された「国民保護法」に基づき、新たに国民保護協議会や、武力攻撃事態等への対処に関する対策本部などを設置するための条例です。
 
 「国民保護法」が制定された今、全国の都道府県、市町村そして、「指定公共機関」に指定された職場などで、国民や、自治体や、労働者が戦争体制に組み込まれる大変危険な動きが進んでいます。

 1999年に成立した周辺事態法は、自衛隊は武力行使できず、後方支援に制限されて、国民を戦争協力に強制的に動員することはできない、という「制約」がありました。自治体や、民間に協力を求めることができても、強制も罰則もありませんでした。

 そこで、アメリカが要求してきたのが、アメリカが戦争する時、日本の参戦協力を得ることができるよう、「アーミテ−ジ報告」として、「集団的自衛権行使と憲法の改正」を要求し「有事法制の制定」などを求めました。
 そのアメリカの要求に全面的に応えたのが、2003年の「有事3法」と2004年の「有事関連7法、3条約」です。
  
 政府は2005年3月には、国民保護法に基づく「国民の保護に関する基本指針」を決定しましたが、その中で、武力攻撃については大きく4つに分類しています。「外国部隊の上陸、侵攻」「特殊部隊の攻撃」「核、生物、科学兵器を含む弾道ミサイル攻撃」「航空機攻撃」の4つですが、それぞれに応じた対処方針を示しています。

 しかし、今、日本がどこからどのように攻撃されるというのでしょうか?現にこの基本指針を示した内閣官房自身、日本への「着、上陸侵攻や航空攻撃の可能性は極めて低い」と説明しています。では政府がしきりに「新たな脅威」と宣伝する弾道ミサイル攻撃などについてはどうでしょうか?

 小泉首相の外交ブレーンである研究者は「日本国民への脅威として、最も確立が高いのが、地震などの大規模自然災害。弾道ミサイル攻撃は、それを行う当該国にとっても自殺行為であり、ほとんどありえない」と言っているように、日本が他の国から攻撃される可能性はほとんどないというのが実際です。

 基本指針では、都道府県には「当直など24時間即応可能な体制確保」を義務付け、市町村にも「当直などの強化」を求め、さらに、自衛隊との「相互の情報連絡体制の充実」「共同での訓練の実施」などもあげて、平時から、自治体が自衛隊と共に「戦時体制」をとることを求めています。

 この写真は陸上自衛隊の中部方面隊での、新隊員教育の様子ですが、これと全く同じような状況が 1月の半ばに天竜地域の熊地域、熊といえばたいそう山深く、静かな環境の所ですが、そこに突然、機関銃を背負った自衛隊員40人ほどが、迷彩服姿であらわれたそうです。歩行訓練をしていました。

 その異様な光景を見た「熊母さんの家」にいらした方が「あんたらなにやってるのかね。どこから来たかね」と尋ね、豊川の陸上自衛隊が歩行訓練をしていたことがわかりました。
 
 こういう情景が日常的に目に付き、異様と思えなくしていく、普段から自衛隊と、地域の自主防災隊とが訓練をし、災害も、テロも、有事も一緒にして住民を訓練に参加させながら、自治体ぐるみで戦争に参加していく状況を作り出そうとしているのが、この法律です。

 また、地方自治体は、住民の避難誘導から、救援に至まで、大きな責務が課せられてきます。

 住民避難にあたっては、首長から関係する各指定公共機関に対し、協力を要請することができると定められ、指定公共機関が一連の流れに具体的に組み込まれるしくみになっており、運輸や放送、通信、医療など160法人がすでに指定公共機関として指定されました。しかし、実際に浜松市の80万市民を、どこに、どのように安全に避難誘導できるのでしょうか?

 鳥取県では、いち早く2003年7月に避難のシュミレーションを行った際に住民約2万6千人をバスで避難させるのに11日間かかり、攻撃が予想される地域では、鉄道、バスなど指定公共機関の職員も「他の住民と同様に避難する」ことが原則になっているので、避難の足を十分には確保できない恐れがあることや、住民が避難する一方、応戦のための自衛隊や米軍が向かってくるので、住民と自衛隊がぶつからないよう避難ルートを決めるため避難できる道路は限られるなど、簡単に避難誘導ができないこともわかってきました。
   
 問題の「国民保護法」はあくまでも「有事」があった場合の国民の保護を定めるものであるはずですが、有事に備えるためということで、知らず知らずに 自治体や公共機関、民間企業に戦争協力の計画作りや実行をせまり、罰則規定まで設け、住民を平時から戦争に備えさせる体制をつくろうとするものです。

 武力攻撃事態法第8条は、「国民の協力義務」を想定し戦争反対者を犯罪人視しています。

 武力攻撃災害事態発生の可能性をあおり、速やかな避難を訴える広報が展開され、戦争協力のための思想訓練を日常化させていく、これこそがこの法律のねらいではないでしょうか。

 戦前政府は侵略戦争を戦い抜くために、自治体に国民総動員の役割を担わせました。

 自治体は本来、住民の命と生活を守ることが最大の任務です。戦前のような、戦争推進機関であってはなりません。過去の侵略戦争の反省の上に立って、自治体をそうした戦争協力・戦争推進の機関に変質させ、国民の人権さえ否定していく「国民保護法」に反対する立場から、今回の2つの条例案には反対をします。

 以上で、私の反対討論を終わります。
 

(2006/3/6up)


   

「国民保護」という名前の戦争協力計画への反対討論